知的財産 肖像権

肖像権とは肖像に対する権利のことです。この場合の肖像とは、主に写真や動画などの被写体のことであり、つまりは、それを勝手に利用してはいけないということです。さらに、この肖像権は、大きく分けると「人格権に基づいた肖像権」と「財産権に基づいた肖像権」に分類することができます。

まず、「人格権に基づいた肖像権」とは、被写体が、それによって生活面での不利益、つまり、写真や動画で見られたくないものを不特定多数に見られたり、それを見た相手からの嫌がらせや付きまといなどをされたりするようなことがないようにするための権利です。そのため、原則的に写真や動画を撮る際には、本人の許諾を得ることが前提となっています。これについては、基本的にすべての人間に対して無条件で認められています。

一方、「財産権に基づいた肖像権」とは、被写体が、それによって経済的な損失を被らないための権利です。つまり、著名人は、その存在自体に経済的価値があり、写真や動画などを公開されることで社会的な利益をもたらすことができるのですが、逆に、それによって経済的価値にダメージが出るようであれば、そのような行為は規制されるということです。そのため、基本的に、こちらは著名人のみに 認められる権利ということになります。

しかし、肖像権が認められている一方では、「表現の自由」も認められており、これらの2つの権利は、しばしば対立して裁判に持ち込まれることがあります。ちなみに、この時に、肖像を創作した撮影者などの権利を保護することになるのが著作権です。そのため、肖像権と著作権は似たような権利に見えますが、その対象が明確に異なるという点には注意しておく必要があると言えるでしょう。